たまには人の本の 2

こないだのCOMITIA
出来る限り全部のサークル(小説)廻って、
出来る限り立ち読みさせていただいて。
なんかチンピラみたいな格好したヤツに
ブースの前でしかめ面で立ち読みされて
困ってる風な方もおりましたが、
ちゃんと
「読ませていただいてもいいですか」
って聞いてOK貰ってんだから、
いいだろ別に。


で、
気になった本は片っ端から買わせてもらいまして、
ほんで今読んでるんだけど。


すげえ本見つけた。
ので、ご紹介。


黒川庵
黒川うみ さんの
胡蝶の天秤」。


亜紀(女)と亜矢(男)っちゅう
出来がいいながらもハードな家庭事情で
ハートを閉ざしぎみな双子さんと、
亜紀の仮初の許嫁として双子と仲良しになった
アウトロー「犬」くんを中心とした
時は1880年代、明治の話。
亜紀を中心とした恋愛がテーマ。


あー、
ちなみにこういう誰かの本を紹介する時の
テーマやら何やらは
あくまで俺の主観の限りってことを
念頭に置いておいてね。


で、なんだっけ。
……そうだ。
亜紀は才色兼備でモテモテで、
けれども人を愛するっちゅうことができない。
それを申し訳なく思いつつ、
悩みつつ、
家庭の事情のために身を切り売りしながら
双子の弟と一緒に翻訳家として働く十四歳。
その明晰ぶりと意志の強さたるや少女とは思えぬもの。


そんな双子の姉に病的にべったりの
これまた才色兼備弟の亜矢。
ちなみに開国したばっかの日本において
翻訳家っつうのは貴重な存在で、
こいつは姉に近づくヤツにはその立場とアタマを利用して
無茶苦茶やります。
愛ゆえにってとこか。
僕だけのそばに居て、ってな。


でも亜矢のそんな努力も及ばず、
亜紀に言い寄って来る男は後を絶たぬ。
そんでとりあえず婚約者立てて
バリケード張っちまおうって親父さんらの計画で、
その相方として白羽の矢が立ったのが犬次郎。
通称「犬」ってのがまた、ね。
とりあえず自分を貸すつもりが、
亜矢の綺麗さにマジ惚れしちまう。
けど手を出そうとはしない。


あと、
双子を雇う有能セクハラ軍人、藤野中佐。
その部下で亜紀に惚れてるヘタレ軍人、野木中尉。
その野木に惚れてる双子んちの女中、砂子。
中心人物はこいつらか。


……どこまで紹介するもんかね。
絡みとか展開とかは
実際読んで楽しんでもらいてーもんな。
けど登場人物だけ書いてもつまんねーよな。
だいたい何かを評価する時って
技術とか小手先のもんじゃなくて
「空気」って抽象的なもんだから
こういうとき困る。
例えば「私のどこが好き?」とか女性に聞かれたら、
「知りません」としか答えられません。
さらに「くだらんこと聞かないでください」ってキレるから、
みんないなくなります。
寂しい。


……いや、そんな話はどうでもいいんだ。


よし、
んじゃとにかく簡潔に、
この本の主題を踏まえて俺が魅力を感じたトコ!


物語の展開に沿って垣間見る亜紀の「強さ」と「弱さ」!
あくまで「弱い」少女でありながら、
家庭の事情のために「強く」あらなければならない少女!
自分の人生を犠牲にして
歴史に名が残ってもいいほどの仕事をした少女が
最後にただ一つ手に入れる小さな幸せ!
「良かったねえ、亜紀ちゃん」っつうお婆ちゃん的感動は
マトモな人間なら抗えねえ!
テメーらもこの娘見習って、
こんなくだらねえホームページで時間潰してないで
誰かのために働けってんだオラ!


……おっと失礼。
まー夢中になって読める小説だってことです。
公式サイトで本篇が無料で読めるようになってんので、
暇がある人はぜひ。
言わずもがな、
暇じゃなくてもぜひ、な。
通販もできるみたいなので、
ちょっとそのエロDVD買うの我慢して
こっちを買ってください。


あとがきによると、
もともとは乙女ゲームのシナリオに使う予定だったそうです。
言われてみりゃ
良い男だらけだもんな、亜紀の周りが。
モテモテだし。
そういうゲームしたことないけど、
なんかこんなシナリオなら
やってみたいな。


余談ながら、
「結婚」が肯定的に扱われてるあたり、
ちょうどこないだ出たばっかの
ATLUSPS3ソフト「キャサリン」と
対極的で面白かった。


……俺も結婚すっか。


年収五億くらいで
家事もやって
性格も良くて
俺が何やっても文句言わなくて
毎日小遣いくれる
クソ美人な女性募集。
当てはまる方はその旨明記の上、
当ホームページ「contact」よりご連絡ください。


あ、
COMITIA 95
お疲れさんでした。


ritsuka