夢を見たんだ。
いつもみたいに近所の通りを並んで歩く夢を。
犬小屋で一緒に寝た最後の夜。
「お前も同じ夢を見ていたのなら」
少しばかりはドラマチックな最期だろ。
ベタだけど、そういうのは悪くない。






脚のひとつも動かせない癖に
白んだ目でじっと俺を見て
ほんの少しだけ尻尾振ってくれた。
そんくらいで十分だ。
可哀想だとか辛そうだとか幸せだったとか、
その辺は他でテキトーにやっといてくれ。






夢を見たんだ。
いつもみたいに近所の通りを並んで歩く夢を。
ごくろーさん、
縁があったらまた逢おうな。


ritsuka