decomposition

死骸が腐って風化していくところ見たことある?
ないならyoutubeでdecompositionって検索してみ。


突然何やねんって話だな。
いや、ここんとこIdolの自殺で騒がれてるじゃん?
それに対する他のタレントさんの言葉を読んでて、ふと思ったんだ。




たとえばどっかに打ち合わせに行きます。
相手の人は笑顔で迎えてくれます。
その笑顔見るたびに思うんだ。
この人、どんな顔して笑うんだろうな、って。


だから事務的な話の合間に
何とか空気を変える隙を探すんだけど、
なかなか無い。
っつうかいくらでもあるんだけど、
その隙を突いても反応がない。
例えるなら釣り堀の魚相手に反応ないウキ眺めてる感じ。


俺が滑ってんならゴメンなさいですが、
滑ってんのかどうかすらも分かんねえ。
仕方ないからエサばら撒いてみるも、
まるで食いつきゃしないんだよ。


「本当の心の……、ヤバいヤバい」


家に帰れば笑えるのか?
俺が嫌われてるか相手にされてないのか?
それとももう終わってるのか?


なぜ泣かないでいるの こんな酷い夜
耐えきれないほど君は傷ついていたはずで
なぜ黙っているの こんな暑い夜
聞こえてきそうだよ神経のワレル音が


『今回の件に関しまして、
本人がこのような状況に至ってしまった理由が見当たらず、
訃報には驚いているとしか言いようがございません。』



……『芸能界に悲しみ』らしい。
けれどその悲しみもいつか忘れられる。
一年後に彼女のことを思い出す人がどれくらいいるだろう。
今と同じだけの悲しみをもって?
乗り越えたのか、受け入れたのか、忘れたのか。
そりゃあ本人のみぞ知る。
俺はただ、
腐って体毛や骨だけを残して蛆に食われ、
やがて風に消えていく死骸にそっくりだなって。
そう思っただけ。


それが良いとか悪いとかはどうでもいい。
一人の人間が死んで、
悲しまれ、
忘れられ、
消える。


さっき深夜徘徊中に見た蛙の死骸も同じ。
車に轢かれて死んで、
目を背けられ、
忘れられ、
消える。


そんな現実が、真実。
良いとか悪いとかの価値では測れない真実だ。
けれど、


「ヤバいヤバい」


全ての価値を、
全ての意味をあっさりと否定する真実に
必死に抗うことは間違いなのか?



鎖にすら繋いでもらえない野良犬の遠吠え。
俺が消えるのはいつだろうね。


ritsuka