あとがき

なんかさー。
新聞の一面にでかでかと広告打って、
でかでかの社名と一緒に
「お見舞い申し上げます」、
で商品の写真。


……その広告代を義援金に回せばいいのに。
「善人」てプリントされたTシャツ着てるっつーか、
右手に媚薬、左手にピンクローターで
「俺、君を愛してるから」って
真顔で言ってるヤツみたいな、
クダラナサを感じるのは俺だけですか?
あ、俺だけですか。
じゃーいいや。


こないだ紹介した
「胡蝶の天秤」をまた読んでて、
あとがきも読んで、
そういや前回のCOMITIA
「なんで『あとがき』ないんですか?」
って聞かれたのを思い出した。


……だって、めんどーだもん。


ってコトではなく。


作品について語れと言われれば、
貴方をBARで二、三日拘束できますよ。
けどもね、


もしも、例えば映画館でさ、
スタッフロール終わったあとにいきなり製作者出てきて、
ごちゃごちゃ語り出したらウザくない?
「僕の作品を観てくれてありがとう」
とか笑顔で言われても、
間を読めよってな。
俺、観た後の後味を堪能するのがすっごい好きなんだけど、
それをブチ壊される気がする。
別世界を楽しんでたのを
いきなり現実に戻されるみたいな。
それは自分の作品を最後に自分で殺すことと違いますか?
ある人に恋をして、
その人とデートを楽しんで、
お別れのときにいきなりそいつが腹かっさばきやがったみたいな。


まあそんな理由で、
作品の創る流れのなかに自分を登場させたくないんです。
「ハイスクール奇面組」(こないだ久しぶりに読んだ)みたく
作者を登場人物として成り立たせる方法も
それは全然面白いしアリなんだけど、
ウチではいらないなあ。
そういうのは映画だったらDVDの特典DISCとかでやればいいと。
ウチの場合はこのannounceがそれにあたりますので。
もしどうしてもってのなら、
あとがきだけ別冊でさらに袋とじにして作りますが。
それは……めんどーだ。


「俺の本読んでくれてありがとう」だなんて、
言うまでもなく思ってますよ。
ただそれを作品の流れの中で言葉にするのはちと野暮かと。
作品に「ありがとう」Tシャツ着せてるみたいで。
読者さんからの感想とかいただいた時点で、
本が創った流れが現実と交わる。
それでいいんじゃない?


……だめ?


ritsuka