ゴリ押し


以前ちょろっと書きましたが、
ワタクシ格ゲーが大好きです。
特にスト4に完全にハマっちゃって、
気を抜くとマジで半日ぶっ続けで対戦したりするので
基本部屋の奥深くにしまっております。
まーそれで、
ネットで日本各地の方と対戦していると
いろんなタイプの勝敗を経験するわけです。






一番悔しくてコントローラを破壊しやすい負け方は
ガッツリ待たれて動きを読まれて
すべての行動を返り討ちされて完封な負け方。
なんつーか
沢村に負けた島袋的な気持ちです。
けれども実際そういう勝ち方が出来る人ってのは
並外れたセンスと反射神経、
そんで練習に裏付けされる技術がある。
やろうと思っても出来ないから認めざるを得ない。
けども無茶苦茶悔しいってな感じで。








一方で、
なんか楽しくなる負け方もあります。
それはこっちが行動する間もないくらい
すげえスピードで攻め込んできて
問答無用に圧殺される負け方。
すなわち『ゴリ押し』。
以前対戦した方から、
「他のジュリ(キャラの名前ね)とやるとつまらんけど
あんたのジュリはミスもお構いなしに
ボコってやるって殺気が伝わってくるから楽しいよ」
ってなメッセージ貰って
ちょっと嬉しかったりした。







実際ね。
ゲームに限らず細々した小細工合戦ってのは
つまんないと思うんだよね。
それが仕方ないってのも分かるけど、
近頃の巷に溢れる広告に
ヒジョーにそういうつまんなさを感じる。
隅から隅まで一応計算されてるんだけどそれだけで
肝心の商品なり何なりの良さというかエネルギーが
全然伝わってこない。







こないだロッテリアでバーガー食いながら作業してた時、
例のトレイに置いてくる紙に例の如く広告が載ってて
新作バーガーかなんか知らんけど、
よく分からんアイドル集団が
一様に判で押したような気味の悪い作り笑い浮かべて
「好き、好き」とかよく分からん文字被せてあって、
商品の説明はまるでなし。
あったのかもしれんが
そのアイドルの方にばかり目がいって、
商品には一切興味がいかなかったってことがあった。







なんかさー、
イメージとか流行りとか大人の事情とか
そーゆーのがあるんだろうけどさー。





……白けるんだよね。






それよか
昔のX JAPAN現役時代の広告とかのほうが
はるかに面白くないですか?
新曲STANDING SEXのキャッチコピーが
「座ってられねえんだよ」だよ?
なんかもうどうでもいいってな潔さと
エネルギーの塊じゃないですか。
やっぱそういうのが好きだな。








と前置きが長くなったけど、
そんなゴリ押しで完全に圧倒されて
自律神経みたいなモンをぶっ壊されました。








ダーレン・アロノフスキー監督
ブラック・スワン」。







まずもって俺の大好きな映画
レクイエム・フォー・ドリーム
も産み出していることをご承知おきいただきたい。
というか、
実はこのブラック・スワン
何の予備知識もなく何となく見始めたもんで
スタッフロール見てびっくりしたというか、
あの人なら納得だわ
と思っちゃったというお話。
完全に醜いあひるの子なイメージでしたが
作品観た後に世間の評論を必ず見る俺、
今回もネットで調べようとしたところ
思いっきりサイコスリラーとか書いてあった。








でまあ作品ですが、
超名作「イースタンプロミス」で見事に
ヴィゴ・モーテンセンのカッコよさを演出した
ヴァンサン・カッセルがまたもやヤッテくれます。
今度のお相手はこれも名作「レオン」にて
可愛らしいマチルダを演じてスター街道
かどうかは知らんがナタリー・ポートマン







とにかくこの作品を一言で表すと、
「プレッシャー」
だと思うのです。
ただそのプレッシャーってヤツは
正直どんな作品でもあるべきもの。
それがないのは名景色百選ロマン紀行みたいな
ちいと違った物語だけではなかろうか。







んでもって
とあるバレエダンサーが主演をとったところで、
そのプレッシャーを
マジでやり過ぎなくらい表現するこの作品。
それを体験する気弱な少女を
やり過ぎなくらい演じきるナタリー・ポートマン
そしてそれにブーストかけるヴァンサン・カッセル






いや中盤まではね、
あー俺も馬術の競技会前とか
そんな感じだったなー分かる分かるとか
程度の低い共感をしておったんですが、
終盤になるにつれ
「いやいやいや 笑」
となって、
「いや、もうマジですんません」
となって、
「……(言葉を忘れ勝手に出る涙)」
となりまして。
最後にそのプレッシャーが生み出した
凄まじいまでの大歓声を聞きながら、
呆然とスタッフロールを眺めておりました。







これです。
なんかもうめっちゃ頑張ったべジータをも
ゴミ屑のように捻じ伏せる
フリーザ様レベルの圧倒的パワー。
スト4で世界トップレベルの人と対戦して
何する間もなくボロ雑巾にされた感じ。
面白い、というよりも








魂に響く。







たった一個のありふれたテーマで
ここまで突き抜けることができるのか。
ぜひ皆様にも呆然自失となるほどの
殺気がこもった『ゴリ押し』を体験していただきたい。
そしてゴリ押されたあとに是非、
自分を省みてこのパワーを糧にしていただきたい。
俺もしますので。








俺、この人の作品好きだなあ……