空気について

まず言葉ができた。


例えば「オレ」、「お前」、「食う」っていう
三つの言葉を用意します。
これらを適当に並べて原住民的に発音してみましょう。


「オレ、お前、食う」
「お前、オレ、食う」
「食う、オレ、お前」


いろんな意味にとれますね、これらは。
これでは原住民の意思が正しく伝わりません。
なので、


次に助詞とかができた。


「オレはお前を食う」
「お前はオレを食う」
「食うオレはお前だ」


これで伝わりやすくなりました。
最後のはよく分かりませんが。
助詞を変えれば意味も変わります。


「オレとお前で食う」
「お前をオレは食う」
「食うとオレはお前に」


ね。
ということでお分かりの通り、文法はとっても大事。
ひいては言葉は正しく使いましょうってことです。


……が。


この羅列された三つの単語。
「オレ」、「お前」、「食う」。
はじめにコレだけを見たときに、
何か勝手に頭の中に場面が描かれませんでしたか?


それは人によって違うかと思います。
例えば料理番組好きの人はメシ食いに行く友人二人を。
例えばB級ホラーばっか見てる人はゾンビみたいなのを。
助詞を使った後でさえ、
「オレとお前で食う」のが
ラーメンなのか人肉なのかって違いがあったりするかもね。


他にも、
「蝶」、「赤」、「草原」

「蝶」、「赤」、「死骸」
とか書いてみますと、
ひとつの言葉が変わっただけで、
全体の雰囲気に伴って、
他の言葉のニュアンスまでガラリと変わることが分かりますよね。


コレは言葉に限ったことではなく。
例えばヤーさんの集団がいたとします。
とても怖いですね。
しかしそのヤーさんのうちの一人が、
チョッパーのTシャツを着ていたとしましょう。
ずいぶん印象が変わりますが、
やっぱりまだ近寄りがたいですね。
それではもう一手、
他のヤーさんの一人に、
ワンピースのポスターが突き出たバッグを持たせてあげましょう。
なんかかなり親しみやすくなりましたね。
これはワンピースの空気がヤーさんの空気に混ざったからなのです。


俺がよく言う空気ってのは、こういう当たり前のモンなんです。
つまり何が言いたいかというと、だ。


えっと、ね。


あー、


つまりだね。


……何が言いたいんだっけ。


延々ごちゃごちゃうるせーよって話で、
空気的に察してくれ。


「オレ」、「飽きる」、「睡眠」


ritsuka