たまには人の本の話

エロ小説ってのを
読んだことがなかったんです。


いきなりすいません。
まあ聞いてくれ。


俺、官能小説ってのに
キヨスクとかで売ってるようなやつのイメージしかなかったから、
今まで手が伸びなかったのね。
ちょろっと目を通すくらいはしたけど、
どうも……こう、エレクトせずに。
いや、エレクトじゃねえや。
このワタクシのアート魂の琴線に触れずに。


けどこないだの文学フリマでさ、
見て回ってたら黒地に赤い華が書いてある
綺麗な表紙のソレがあって。
ちょいと立ち読みさせてもらったら、
これがすげえ良かったの。
エレクトしたの。
……じゃねえや、琴線に触れたの。


んで即購入させてもらったのが、
サークル「マゼンタ」さんの
『magenta vol.1』。


四本、それぞれ違う方が書いてて、
みなさん女性ということもあって……いや、そりゃ偏見か、
とにかく、
「濡肉女教師、放課後の禁断授業凌辱篇」(適当)みたいな
ドスケベ内容じゃなくて、
あんまり肉々しい匂いがしない。
よく二次元とか三次元とか言ってるけど、
この本は二次元的で。
でも秋葉原チックな雑多さもなく、
「白馬の王子様」の延長線のような、
乱暴な言葉も描写も使わない、性へのバージナルな憧れ、神聖化された情愛があった。
例えるなら風景画の画集かな。
思い返すと、それぞれの話の風景がまっさきに浮かぶんだ。
そしてそのどれもが素敵。
もちろん、一気に読んだとも。


恋愛小説ってのはドラマチックなのが多いけど、
いや、あんま読んだことないから知らんけど、
そいつらより一歩アダルトな、赤紫色のドラマ。
十八歳以上の方は、
ぜひ手にとって読んでみてほしい。
十八歳未満でも、
サバよんで読んでみてほしい。
通販もやってらっしゃるみたいなんでね。


いや、別に何かもらったから広告してるわけじゃねーよ?
でもまあ、強いて言うなら
「感動をもらった」。
そんなとこかな。


……何書いてんだろうね、俺は。


ritsuka